外資系企業の転職にMBAは必要?

このページをご覧の方は、外資系企業への転職を考えている方で、MBA(経営管理学修士号)取得はこれからの方だと思います。既にMBA取得についてお考えになられたり、調べられたりした方もいるかもしれませんが、そうでない方を想定して、ここでは単に、MBA取得の必要性についてだけ論じるのではなく、MBA取得を考える際に知っておきたい基礎知識なども踏まえて、外資系転職とMBA取得について、本質的にその意義を考えてみたいと思います。(※一定の知識がある方は、序盤の文章を読み飛ばしていただいても結構です。)

そもそもMBAとは?

そもそもMBAとは「学位」であって、「資格」ではありません。例えば、弁護士のように法令で決められた業務独占資格とは全く異なります。もちろん外資系企業で就業するに当たって、法令で定められた業務独占資格はありませんので、まずMBAは外資系企業に転職する必要条件ではありません。

MBAは、アメリカのハーバード大学が1908年にスタートさせたプログラムで、経営のプロフェッショナルを短期間に育成することを目的としています。経営のプロフェッショナルという定義であるため学習の領域は多岐に渡り、経営戦略やマーケティング・組織論・リーダーシップ・アカウンティング・ファイナンスといったカリキュラムを総合的に習得します。

世界のTOP100人のCEOのうち27人がMBAホルダー

2012年12月号の「Harvard Business Review」によると、世界の大手グローバル企業トップ100人のCEOのうち、MBAホルダーは27人という調査結果が得られています。この比率は明らかに多いものだと評価することができ、特にMBA先進国アメリカでは転職や昇進との関係性は強く、MBAを取得していないとその企業で経営リーダーに登るキャリア・パスさえ描けないという状況もあります。

MBA取得のために必要な費用・時間

最近では国内でもMBAを取得できる大学が増えてきたため、以前よりは取得しやすい環境が整備されてきました。とはいえ、MBAの取得には多くの費用や時間が必要になります。また、どこのスクールで取得したのかを重視する傾向は外資系企業の方が強く働くようです。

海外MBA

学費:800万~2000万/履修期間:1年~2年
学費以外にも現地での居住費や生活費などの費用も発生するため、MBA取得に必要な費用は莫大になります。また、英語という言語のハードルも越える必要があります。

国内MBA(通学制)

学費:130万~400万/履修期間:1年~2年
夜間や土日などを使って通学する人もいますが、仕事と学習の両立には激しいストレスがかかるため注意が必要です。

国内MBA(通信制)

学費:100万~300万/履修期間:1年~2年
仕事を続けながらMBA取得を図りたい人が多く、学費を最も低く抑えらますので経済的な負担を軽減することができます。

以上のように、取得パターンは複数あるものの、一定の費用と時間を投資する必要があります。就業中の方も多いと思いますので、まずは時間とのバランスを深く考えて落とし込むことが必要です。

MBA取得することで得られるもの

多くの時間・費用を注ぎ込んで獲得するMBAは、何をもたらしてくれるのでしょうか?先述した通り、資格ではなく学位なので、直接的な効用は下記のような内容になります。

ビジネス・プロフェッショナルとしてのスキル

MBAは広くビジネスのことを学び、経営の全体像を理解するプログラムです。多くの人は仕事を通してスキルや知識を形成していきますが、MBAは多面的に体系化されたビジネス・フレームワークを習得することになります。今までエンジニアリングの世界でキャリア形成してきた人が、マーケティングもファイナンスも学ぶことになります。学ぶ対象は今までの築いてきたキャリアに依存することはありません。

人的ネットワーク

MBAを取得するために時間とお金を投資する決意をして、学びの機会を作りに来た仲間は、かけがえのない存在になると多くのMBA取得者は言います。動機は違えども、一定のエネルギーを払って学びを得に来た仲間とは共感できる部分が多いようです。もちろん、ビジネスの局面でもそのネットワークを使った取り組みが行われるケースは多くあります。

MBA取得はキャリアにプラスに働くのか?

それではMBA取得はキャリア形成にプラスに働くのでしょうか?特に、外資系への転職を考えられている皆さんにとってはどうでしょうか?

これは、皆さんが描かれているキャリア・プランによってプラスに働く場合と、そうでない場合があると思います。具体的にあなたが描いているキャリア・プランは、「スペシャリスト」の道でしょうか?「ゼネラリスト」でしょうか?

今までのキャリアや専門性を強みとして、外資系への転職をお考えなのであれば、MBAを取得しているか否かは重要な話ではありません。その場合、外資系への転職だからといってMBA取得にこだわらないほうがよいと言えます。

そうではなく、転職先の企業で、「ゼネラリスト」として強くリーダーシップを発揮する立場になることを希望するのであれば、MBAを取得していることはプラスに働きます。そのビジネスを成功に導くために、マーケティング・開発・財務・人事などあらゆる専門家と話しをした上で、意思決定する立場に立たなければならないので、MBAプログラムで学んだ多面的なビジネス・フレームが役に立ちます。

さらに、スペシャリストとゼネラリストの違いは、日系企業に比べて外資系企業では、強く・長く判断されるポイントになるため、外資系企業への転職を考えられている皆さんにとってはとても重要なポイントです。スペシャリスト採用された人は、その部署のマネジャーになったとしても、ビジネス・リーダーになるということは、外資系企業では少ないパスと言えます。

外資系企業の採用担当者の立場から考える

外資系企業でも、日本のビジネスは日本法人に強く権限を委譲しているケースと、そうでないケースがあります。現地化が進んでいる企業には当てはまらないかもしれませんが、本社の意向が強く反映される外資系企業の場合は、経営幹部を採用するにあたってMBAホルダーなのか否かは、採用候補者を評価する1つの大きな材料になります。

本社からの意向が強い外資系企業の場合、本社でグローバルな戦略策定を担当している幹部社員との意思疎通を、早く、正確に行えることが求められます。本社の幹部社員は、日本に限らず、多様な国のスタッフとコミュニケーションを図らなければならないので、その多様性をコントロールできなければなりません。その際、MBAを取得している人材を登用するというのは、一定のビジネス・フレームワークがスキル・セットされた人材としてみなすことができるため、多様性のコントロールを行うのに得策なのだと言えます。

中長期的なキャリアアップを見据えてMBAの学習を進めましょう

外資系企業への転職にMBAは必須ではありません。しかし、築きたいキャリアの方向性や、転職先として考えている外資系企業の特徴によって、強くプラスに働くものであることは間違いありません。また、取得するにあたって費用・時間の投資判断をする必要もあります。

いずれにしろ、「どうしたいのか」という自己分析が極めて大切になります。自分のなりたい姿や、活躍したいフィールド、具体的な外資系企業のイメージがついていて、それを実現するためにMBA取得がプラスに働くのであれば、リターンに足る投資になるはずです。