外資系企業のヘッドハンティング

求人サイトや人材紹介会社への登録を行っていなくても、ある日突然、外資系企業専門のエグゼクティブ・サーチからスカウトメールが届いたり、電話が掛かってきたりすることは珍しくありません。ここでは、外資系企業のヘッドハンティングの仕組みと対策について解説していますので、転職活動を有利に進めるための1つのヒントとして活用していただければと思います。

外資系企業がエグゼクティブ・サーチを利用する理由

ヘッドハンティングの仕組みと対策を理解するにあたって、まず、外資系企業の人事制度や採用方法について知る必要があります。ここでは、なぜ外資系企業がエグゼクティブ・サーチを利用して採用を行うのか、その3つの理由について解説します。

1.人事部をアウトソーシングしているため

外資系企業の日本法人には、日系企業のように十分に組織化された人事部は置かれておらず、特に採用活動に関しては外部の人材紹介会社やエグゼクティブ・サーチを利用する傾向が強くあります。

人事部をアウトソーシングする理由としては、日本法人のミッションは日本市場における販売促進であるため、営業部門やマーケティング部門には十分な人材を確保するものの、一方で人事部を始めとした管理部門には必要最低限の人材を配置したいと考えるためです。

2.即戦力の人材を採用したいため

外資系企業は人材の流動性が高いため、経験が豊富で専門的なスキルを有する即戦力の人材を常に求めています。また、日系企業のように人材育成に多くのコストと時間を投じるということもないため、採用後すぐに対象のセクションへ配置を行い、責任あるポジションを任せ、かつ成果を出すことを強く求めます。

よって、即戦力の人材を効率よく採用する必要があるのですが、この課題を解決するのが外資系企業専門のエグゼクティブ・サーチです。一般的な求人サイトや人材紹介会社を利用してしまうと、外資系企業の定義する即戦力とは程遠い人材の応募が数多く集まってしまうなど、採用活動が非効率になりがちですが、エグゼクティブ・サーチを利用することで、一定の経験とスキルが担保された人材を効率よく集めることが可能となります。

3.求人情報を非公開にしたいため

エグゼクティブ・サーチを利用することで、求人情報を公開することなく採用活動を進めることができます。外資系企業が求人情報を非公開にしたいと考える対象は、「競合企業」と「自社スタッフ」の2つのステークホルダーが挙げられます。

まず、競合企業に対しては、採用情報を公開することで自社の事業戦略や経営課題も競合企業に伝わってしまう恐れがあるため、という理由が挙げられます。次に、自社スタッフに対しては、現任者を解雇して新しい人材を配置することを目的として採用活動を行う場合が最たる例ですが、現任者や当該部署の社員に採用活動を行っていることを知られたくないため、という理由が挙げられます。

スカウトメールが届く理由と仕組み

ヘッドハンターから突然スカウトメールが届くと、なぜ自分の連絡先を知っているのか、個人情報がヘッドハンターに漏れているのではないか、と不安に感じる方も多いかと思いますが、もちろん明確な理由と仕組みがありますので安心してください。

誰彼構わずスカウトメールが届くわけではない

エグゼクティブ・サーチは、外資系企業から受け取ったオーダー(人材要件)に適合する人材を探しています。つまり、オーダーに適合しない人材を外資系企業に紹介することは、エグゼクティブ・サーチ側にとって契約を打ち切られるといった結果に繋がるだけであるため、スカウトメールが届くということは、いずれかの外資系企業のオーダーに適合する人材として高く評価されているということです。

対象となる人材をどのように探しているのか?

それでは、エグゼクティブ・サーチはどのような方法で対象となる人材を探しているのでしょうか?一般的には、エグゼクティブ・サーチ独自の人脈を辿って対象となる人材を探しており、例えば、対象となる人材の上司や友人など、第三者の評価が高い人材にスカウトメールを送ります。

また近年では、facebookなどソーシャルメディアに登録されている個人情報(現在の職務内容やこれまでのキャリア、趣味志向など)や、書籍やニュース記事またはWeb上に公開されているコンテンツなどの能力や経験を客観的に証明するリソースをベースにして、スカウトメールを送ることもあります。

また、ヘッドハンターとのコミュニケーションを頻繁に取っていないにも関わらず、外資系企業との面接をすぐに提案される場合がありますが、その場合、外資系企業の人材要件を理解しておらず、あなたの経験やスキル・希望を理解していない劣悪なヘッドハンターであることが多いため、ヘッドハンターの見極めには注意が必要です。

外資系企業のヘッドハンティング対策

上述の通り、外資系企業はエグゼクティブ・サーチを利用して採用活動を行うことが多いため、ヘッドハンティングを上手く活用することで、外資系企業への転職活動を有利に進めることができます。ここでは、ヘッドハンティングを受けるにあたってどのような準備を整えておくべきなのか、またどのようなメリット・デメリットがあるのか解説しています。

ヘッドハンティングを受ける準備を整える

まず、最低限準備しておくべきものは、英語の履歴書や職務経歴書です。スカウトメールを受け取った後、転職活動のファーストステップとして書類選考が待っていますので、スムーズに書類を提出できるように予め準備しておきましょう。

また、積極的にヘッドハンティングを利用したい場合には、エグゼクティブ・サーチに人材登録しておきましょう。加えて、ソーシャルメディアやブログに、自分の職歴や経歴を出来る限り詳細に記載し公開しておくことで、スカウトメールが届く可能性を高めることができます。

ヘッドハンティングを利用するメリット

ヘッドハンティングを利用する主なメリットは2つあり、求人サイトなどに公開されていない外資系企業への転職のチャンスを掴むことができることと、自分の経験やスキルにマッチした人材を求めている企業の紹介を受けられることです。

現在の仕事と並行して転職活動を進める方にとっては、膨大な求人情報から転職先の候補となる企業を探すという手間を省くことができ、合わせて、外資系企業の求める人材要件とのミスマッチを防ぐことができますので、効率的に転職活動を進めることが可能です。

また、ヘッドハンターは転職時にヘッドハンターを利用するリピートユーザーの獲得を重視しているため、良好な関係を構築しておくことで、人生において幾度か訪れる転職のタイミングで心強いパートナーとなってくれます。

ヘッドハンティングを利用するデメリット

一方で、ヘッドハンティングを利用するデメリットは、エグゼクティブ・サーチから提供される情報に偏りが存在することです。エグゼクティブ・サーチは、全ての外資系企業の求人情報を網羅しているわけではなく、特定の外資系企業のオーダーを元に人材を探しているため、転職先の選択肢が限定されてしまう可能性もあります。

また、ヘッドハンティングの対象となる年齢として、実務経験の豊富な30代以降であることが一般的であるため、20代で転職をお考えの方は、ヘッドハンティングを頼りとした転職活動を行うことはおすすめしません。

加えて、外資系企業の退職マネジメントの一環として、ヘッドハンターを差し向けることもあるため注意が必要です。企業側から解雇・リストラの勧告を行うことはコストの面でリスクが伴うため、外資系企業側で雇ったヘッドハンターが解雇対象者にアプローチし、自主的に退職を宣言させるという場合があります。

よって、エグゼクティブ・サーチだけに頼ってスカウトメールを待つのではなく、求人サイトや転職エージェントなどと合わせて転職活動の1つのツールとして活用し、選択肢を広く持っておくことが重要です。